SG第31回グランドチャンピオン開催直前インタビュー 最強兄弟の兄・篠崎元志選手に聞く「コロナ禍でのボートレーサーの使命感」
ステイホーム中の娯楽としても、市民権をぐーんとアップさせているボートレース。
22日~27日には岡山県倉敷市の児島ボートで、業界最高格のSG(スペシャルグレード)レースの今年第3弾、「第31回グランドチャンピオン」(優勝賞金3300万円)が開催されます。その一戦に挑む、史上最強とも称される兄弟レーサーの兄で福岡市出身の篠崎元志選手(35)に、ボートレーサーとしての気構え、大会への意気込みなどについて聞きました。
1986年2月28日生まれ。福岡市出身。A1級。2012年、住之江(大阪市)のグランプリシリーズ戦でSG初優勝。15年、蒲郡(愛知県)のメモリアルでSG2度目のV。実弟は同じくA1級レーサーの仁志(ひとし、33歳)
―コロナ禍でのステイホーム需要もあり、テレビやインターネットの視聴、舟券購入などを通して、ボートレース業界は売り上げを大きく伸ばしていますね。
「仕事をしたくてもできない方もいる中で、変わらずにレースができている。走れることは決して当たり前ではないんだなという複雑な思いはありますが、業界の売り上げが(寄付や交付金として)社会貢献にもつながっているわけで、そこに自分たちボートレーサーの走る意味があることを理解していますし、目の前のレースに全力で打ち込むことの大切さもいっそう強く感じています」
―デビュー丸16年。改めて思うこの仕事の魅力は?
「結果が全ての世界。頑張ってその結果を残せば自分に戻ってくるので、やりがいが大きいですね」
―「イケメン」の名をずっと背負ってきた16年でもあります。
「そういう取り上げられ方も含めて、いろいろな形でボート界からオファーをいただいていることに感謝しています。10年以上前は〝名前先行〟のようにも感じていたので、結果も残さなきゃ、期待に応えるだけのことはしなくちゃ、という責任を感じながらやってきました」
―〝広報マン〟としての役目をいとわず引き受けるのにも納得がいきます。
「この世界で自分を売り込んでいく際に、ボート業界全体に後押ししてもらった部分があると思っています。それにお返ししなくてはという思いですね」
―弟・仁志選手とともに兄弟として取り上げられることも多いですね。
「兄弟で注目される重圧もずっとあった中、弟が昨年5月、オールスター(大阪・住之江ボートで開催)でSGを勝てたことは本当に良かった。一つの重荷が取れたっていうのかな。弟が勝ったその優勝戦はレース前に、『絶対に勝って来い』と初めて思ったレースでした。それまでは、勝つのはもちろんうれしいけど、無事に帰って来いとか、勝ち負け以前の感情の方が大きかったけど、あのレースだけは違った。思いが届いたのかもしれませんね」
オールスター優勝後に兄弟で写真に納まる篠崎仁志(左)と兄の元志
=昨年5月
―名実ともに紛れもなく最強兄弟レーサー。ファンは2人一緒の活躍が今後も見たいはずです。
「2人でまたグランプリ(年末に開かれる、優勝賞金1億円を懸けた業界最高峰の一戦。約1600人の全選手中、18人しか出られない)に、という気持ちは、兄弟としての毎年の目標と言えるかもしれません。初めて2人で出場した2016年のグランプリは、自分が直前のけがの影響で最後まで走り切れなかったというのもありますし…」
―児島ボートで22日から開かれるSG「グランドチャンピオン」にも兄弟で参戦。どんな大会ですか?
「1年間のSGの成績上位だけが出られる大会なので、出場メンバーもレース内容も、SGの中でも特にレベルが高い。SGには全て出場したいという思いはずっとあるので、もちろん出たかった大会です」
―初めてグラチャンに出場したのが、ちょうど10年前の児島大会でした。
「優勝は(福岡支部の先輩の)瓜生正義さん?あぁ2号艇でしたね。(V最短だった)1号艇は自分の同期の平本真之君でしたよね。覚えています」
―その児島で、今度はあなたが優勝戦出場1号艇、そしてVをつかんでほしい。どんな意気込みですか。
「昨年は、グレードレースどころか一般戦でも一度も優勝できなかったし、停滞している状況が長い。このあたりでいいきっかけをとの思いはあります。グレードレースで成績を残したいし、児島はSGで優勝戦出場したこともある(2012年のチャレンジカップで5着)。レース場関係者の方々の期待にもお返しできるよう、しっかり頑張るだけだと思っています」
―ボートレース未経験者にもメッセージを。
「今は外出を控える時期ですが、コロナが収束すれば、ぜひレース場で見てほしい。やっぱりボートレースは生で観戦してこそ。エンジン音はすごいし、この迫力はテレビやパソコン、スマホの画面だけでは伝わらないものがあります。賭け事の公営競技だけど、実際に見てもらえたら、一つのモータースポーツとしての魅力も分かってもらえると思います。レース場に来れば、画面とのギャップに驚きますよ」
SG第31回グランドチャンピオン
開催日:6月22日(火)~
場 所:ボートレース児島(岡山県倉敷市児島元浜町6-3)
年間に8大会あるSGレースの一つ。出場するのは、1年間のSG優勝戦の進出者をはじめ、SGの常連ばかりのため「SG中のSG」とも呼ばれる。全国持ち回りで開催され、児島での開催は10年ぶり2度目。略称はグラチャン。
http://www.kojimaboat.jp/index.html/
http://www.kojimaboat.jp/2021gc/sp/index.html/