まくって攻める! 高田ひかる選手直前インタビュー ボートレースびわこ西日本スポーツ杯
「ボートレースの華」とも表現される積極果敢な戦法の「まくり」を武器に、急激に成績を伸ばしている若手女子選手がいる。高田ひかる選手(28)=三重=がその人。
人気もうなぎ登りで、今年5月には、ファン投票によって出場選手が決まる「ボートレースオールスター」(ボートレース宮島で開催)でSG(スペシャルグレード=業界の最高グレード)レースへの初出場も果たし、予選の初戦でいきなり白星も挙げた。
9月8日(木)~13日(火)、滋賀県大津市のボートレースびわこで「第6回西日本スポーツ杯」が開催される。同杯は女性5人の出場が予定されている男女混合戦。昨年の西スポ杯は女子レーサーの渡辺優美選手が優勝した。今年も女子レーサーがレースを制すか。同杯に出場し活躍が期待される高田選手にボートレースへの思いや西スポ杯への意気込みなど話を聞いた。
(※ボートレースの決まり手)1着の選手がどんな戦法・展開で勝ったかを示すもの。「逃げ」「差し」「まくり」「まくり差し」「恵まれ」「抜き」の6種類があり、まくりは内側の艇を全て外側から抜き去って1Mを先頭で回らないと記録されない。差しは1Mを先に回った他艇の内側に舟を運んで抜け出す技。
1994年8月5日生まれの28歳。三重県出身、伊賀白鳳高中退。2013年11月デビューの113期。初1着まで1年4カ月を要したが、それから1年半で優出(優勝戦に進出することの略称。結果は転覆)。さらに3年後の18年5月に下関で初優勝を挙げた。今年は7月に鳴門でV。昨年8月には女子の強豪だけが出場できるレディースチャンピオンでG1で初めての優出(4着)。デビューからの通算成績は1着347回、32優出5V、通算獲得賞金1億3893万1500円(8月31日現在)。休日はホットヨガでリフレッシュ。ゴルフの練習場に通い、コースへのデビューに備える日々。158㌢、49㌔、A型。
―伸びるエンジンに仕立て、まくって攻めるレースがファンの支持を集めています。
エンジンを出す(人を上回るパワーに仕上げる)ことへの意欲はずっとありました。その中で2020年に、ペラ調整が得意な野添貴裕さん(引退)、藤山翔大さんと同じ開催に出場する機会があったんです。そこで伸び型のペラ調整を教わって、自分の仕上げ方に〝色〟を付けることができました。今のスタイルのきっかけはその出会いですね。
―脅威の伸びを周りの選手たちも強く警戒しています。
8月に、追加あっせん(欠場者が発生した際に急きょ出場を依頼される)でボートレース芦屋(福岡県)を走った際には、(冗談交じりに)〝嫌な選手が追加で来たな〟とも言われました。それだけ手ごわい相手として認めてもらえているのは光栄でうれしいです。
―ボートレースには「差し」という戦法もあります。
私は元々、外マイやスピード戦が得意だったので、得意なことを伸ばしていこうとしたら今のスタイルになりました。差しは得意ではないけど、それは今後の自分の伸びしろ(成長の余地)だと思っています。差しも上手になればもっと強い選手になれるので。
―勝利への王道ともいえる「イン逃げ」の得意度は?
元々はかなり得意だったのに、最近はあまり逃げられていないですね・・・。ファンに安心して買ってもらえる選手になりたいので、インの信頼度を上げるのは差しと同じく今後の課題です。
―西スポ杯で走るびわこ水面の印象は?
これまで成績が両極端なので、私に合っているのかどうなのか、全く分からないんです(苦笑)。ただびわこは、子どものころから家族に連れられてスタンドから見ていた水面。伊賀の実家からだと津もびわこも似た距離なので、津と同じぐらい訪れていました。なじみがあるレース場です。
―そんな観戦体験からレーサーに?
カッコいい!と小学生で一目ぼれしました。井口佳典さん(同じ三重支部)のオールスター優勝(2008年、東京・ボートレース平和島)も(場外発売をしていた)ボートレース津で観戦。ファンのみんなが画面の向こうの井口さんにスタンディングオベーションをする光景には感動で鳥肌が立ちました。レーサーの試験は中学卒業時から4回受けて合格。高3の途中で養成所に入りました。
―晴れてレーサーの一員になりましたね。
その井口さんや、小学生時代の憧れだった浜野谷憲吾さん(東京支部)と同じレースを走る機会もあり、とても楽しく充実した日々です。
―とはいえ、勝負の世界には厳しい一面もある。
結果が出なくてしんどいときもあります。それでも、応援してくれている人の存在は分かっていますし、伸びてまくる高田ひかるというレーサーに期待してくれているのも分かる。なので決して逃げ出さず、〝高田ひかるが高田ひかるであるにはどうしたらいいのか〟と考えて、目の前の一走一走に全力を尽くしています。それが私のモットーの〝一所懸命〟でもあるのですけど。
―今後の目標は?
(女子の年間賞金上位12人が出場できる)年末のクイーンズクライマックスへの初出場がまず今年の目標(現在、賞金ランクは女子の11位)。毎年1回ずつしか優勝できていない私だけど、SGクラシック(3月に開催。例年、前年に5~6回の優勝を挙げれば出場切符が得られる)にも出たいと思っています。レーサー像としては、オールスターの優勝で見た井口さんのように、私もみんなに愛されるレーサーになりたい。
―昨年の西スポ杯は女子の渡辺優美選手が男子5人を相手に優勝しました。
知っています。2コースまくりでしたね! 私も頑張ります!
第6回西日本スポーツ杯
開催日:9月8日(木)~13日(火)
場 所:びわこボート(滋賀県大津市茶が崎1-1)
https://www.boatrace-biwako.jp/