【西日本工業大学】「5G時代」に求められるのはクリエイターの感性+エンジニアの技術力

2020年12月25日(金)

 2014年、福岡県内では唯一、文部科学省事業である「地(知)の拠点大学整備事業(大学COC事業)」に採択された西日本工業大学。その実績を踏まえ、様々な取り組みを推進中ですが、特徴的なのは、通常なら異なる学問領域である工学部とデザイン学部とが、ともに『ものづくり』の観点から知識・技術を共有している点。工業技術、あるいはデザイン技術を学ぶだけではなく、工学とデザインとの融合からイノベーションを生み出そうと、研究・実践を続けています。

大学と地域とが協働し、地方創生への歩みを進める

 西工大が採択された「大学COC事業」は、地域社会と連携しながら、地域の課題解決や地域振興策の立案・実施に取り組む大学を、国をあげてバックアップしようというもの。地方創生の中心となる「ひと」を地域で育成し、その地で活躍してもらうための取り組みです。

 同事業への採択を受けて西工大は、キャンパスが立地する北九州・京築エリアの自治体や地場企業と連携した、教育研究プロジェクトや地域が求める人材の育成に注力してきました。例えば、工学部総合システム工学科の電気情報工学系研究室が、地元洋菓子店とコラボして製作した「トイレ型チョコレート菓子」。北九州市には、国内を代表するサニタリー用品メーカーのTOTOが立地しており、代表的な製品である陶器製トイレの造形を基に、同研究室の学生たちがチョコ菓子用の“型”を3Dプリンターで作製。完成品はTOTOミュージアムなどで販売され、ユニークな北九州市みやげとして好評を博しました。


トイレ型チョコレート菓子を3D CADで作製している学生の様子


 デザイン学部の産学連携プロジェクトも盛んで、ゼミ生や研究生が地元不動産販売会社とタッグを組み、中古マンションのリノベ-ションデザインプロジェクトを推進。老朽化した団地へのリノベプランが採用され、実際にリノベ物件として販売に至っています。

 農業従事者の減少や高齢化など、地域における問題を解決するため、トマトの収穫を自動で行うロボットや、ドローンを活用した農作物管理システムの構築にも取り組んでいます。同大学のロボット技術は高く、「全日本ロボット相撲大会」日本一に輝いたこともあるロボット技術を、さらに大分市の企業や他大学とともに進化させ、衛生管理の厳しい食品加工工場の排水溝掃除ロボットに応用する研究なども、現在推進中です。

 

「5G」時代のキーワードは「データサイエンス×デザイン」

 わが国が目指す「Society 5.0」の社会づくり。サイバー空間とフィジカル空間とを高度に融合させ、経済の発展と社会的課題の解決を両立させるため、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)、人工知能(AI)活用など様々なジャンルの研究が進んでいます。

 そうした中で西工大も、「データサイエンス×デザイン」をキーワードに掲げ、社会を動かす心を持った技術者やデザイナーの育成に力を入れる構えです。「これからは第5世代移動通信システム(5G)が普及し、IoTが情報を集め、AIがデータを分析・予測、制御するポスト情報社会。機能性や効率を優先する価値観から、ユニバーサルデザインのように、性別や年齢を超えて『人間を幸せにする』という方向へと価値観が変わっていきます」(片山憲一学長)。

 「本学には、工学部の学びとものづくりだけでなく、人間を幸福にする視点で重要となる『多様性・創造性』について、人の心を動かすデザイン学部があります。技術を学ぶだけの学部ではなく、工学とデザインの融合、地域との学びで、新たな未来社会を切り拓き、生き抜くことができる人材育成に挑戦しています」(同)。

 かつてほとんどの工業製品は、高性能さや多機能さ、壊れにくさなど、ハード面の秀逸さを重視して作られていました。しかし近年、人がより自然に無理なく扱えるようにする「エルゴノミック(人間工学)デザイン」や、利用者が操作方法を間違っても危険が生じないよう、設計の段階から配慮する「フールプルーフ構造」が、多くの製品に求められています。「人間を幸せにする」という方向への価値観の変移が、あらゆる工業分野で起き始めているのです。

 西工大が取り組む、工学とデザインという2種類の「知」の融合。そこから生まれる“化学反応”が、地域社会に大きなイノベーションを起こすかもしれません。

「三位一体」の就職指導が、大学での学びを未来につなぐ


おばせキャンパス

 


小倉キャンパス


 
 就職サポートの手厚さも、西工大の特徴の1つです。各学生の希望を実現させるため、就職指導委員、卒業研究担当教員、キャリア支援室が「三位一体」の体制で就職指導を行うほか、保護者との就職面談、年間17回におよぶ細やかな就職ガイダンスを実施。また、地元の企業を招いての「業界研究セミナー」の開催や、女子学生の就職指導に特化した「女子学生ガイダンス」の開催などで、学生の将来をしっかりサポートしてくれます。

 将来に向けた“道標”の1つとなる「資格」の取得に関しても、学科ごとに資格取得を支援する体制を整えているほか、特定の資格や検定を単位認定する制度を設け、学生のモチベーションを高めています。

 そうした同大学の取り組みの成果を如実に表すのが、2020年度における1092社もの求人数。いまだ出口が見えないコロナ禍の影響で、民間企業の多くが新卒採用に消極的だった年度だったにも関わらず、1000社超・卒業見込み学生1人あたり約5社となる求人数は、九州内の私立大学全体でも突出した数字と言えるでしょう。

 企業への就職ばかりでなく、教員への道を目指す学生が多い点も、同大学の特徴です。教員採用試験の合格に向けて、少人数の授業と綿密な採用試験対策を実施しており、各学科の専門科目に加え教職課程の科目を履修することで、最大4種類の教員免許が取得可能。3年次後期の「教職ゼミナール」では、少人数のクラス編成で過去の試験問題の解説から小論文作成の練習、面接試験の受け方まで、採用試験合格のノウハウを徹底指導しています。また、学内には教職に関する専門講師が常駐しており、きめ細かなサポートを行っています。

 2020年度福岡県教員採用試験の「高等学校・工業」では、県内全域で30人が合格しましたが、このうち12人が西工大出身(現役合格1人、卒業生合格11人)。つまり、合格者の3人に1人強が西工大出身者という実績を収めました。片山学長が言う「新たな未来社会を切り拓き、生き抜くことができる人材育成」が、着実に結実しているのです。

<西日本工業大学>

  1967年、「人を育て技術を拓く」をモットーに、苅田町に工学部を開設。2006年に北九州市にデザイン学部を開設しました。「工学」と「デザイン」を融合させた教育、研究を推進し「地域社会から求められる就業力を備え、総合的な課題解決を行える人材」の育成に取り組んでいます。
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企画・制作/西日本新聞社メディアビジネス局

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