対馬グルメ探訪
対馬のグルメといえばやはり海の幸。豊かな漁場がある対馬には、アナゴをはじめバラエティに富んだ魚種がそろいます。季節によってはクエ(アラ)やアカムツ(ノドグロ)といった高級魚も獲れます。しかし、対馬で漁獲された魚介のほとんどが都市圏で買われるため、島民が口にすることは少なかったのだそう。近年ではそういった状況に疑問を持った水産業者も増え、地元の飲食店でも対馬の鮮魚が出回るようになっています。
また、清酒「白嶽」や焼酎「対馬やまねこ」といった地酒も見逃せません。対馬の美味しい水を使う地酒は、対馬の鮮魚との相性も抜群です。
さらに近年では米をはじめ、お茶やユズといった新しい農産物も増えています。茶葉やユズはイノシシやシカによる被害が少ない農産物として注目されており、今後多くの食品が誕生するかもしれません。
水揚げされたアナゴが新鮮な状態で店頭に並ぶのもここならでは。コリコリとした食感の「穴子の刺身」やシャリを巻き込んだ「穴子のにぎり」は兄弟3人が太鼓判を押す名物メニュー。「兄弟3人それそれが異なる分野で活躍することで、お客様に対馬のアナゴをはじめとした魚介がさまざまな形でお届けできます」と慎一さんは話す。
兄弟3人で作り出す、対馬が誇る海の美味
こちらの寿司店は、長兄の築城慎一さんが水揚げした新鮮なアナゴが寿司や一品メニューとしていただけます。アナゴだけでなく、上対馬で獲れる肉質の良いアマダイ(紅王)や対馬北部海域で取れる脂が乗ったタチウオ(銀太)といった対馬ならではの鮮魚も旬の時期に登場。そんな対馬の魚介を調理するのは次男の順一郎さん。和食の職人として島外でも修行した順一郎さんは、この店のために寿司職人に転身。彼が開発した「穴子の一本にぎり」は店の名物メニューとなりました。隣接する加工場では三男の建太郎さんが兄弟で開発したアナゴの加工食品を製造。アナゴを活魚のまま血抜きジメし水氷で管理することで、新鮮なまま加工を施しています。上対馬の名物兄弟が対馬の味をお届けします。
すし処 慎一
対馬の北の玄関口・比田勝にあるこちらの店では、アナゴ漁船・幸生丸の船長で漁師の長男築城慎一さん、すし職人の順一郎さん、アナゴの加工を手がける建太郎さんの3人が、それぞれの得意分野で助け合い切り盛りしている。
- 住所 上対馬町古里13-3
- 電話 0920-86-3749
- URL https://www.sushi-shinichi.com/
現在は15,500平方メートルの茶畑と18,000平方メートルのユズ畑で栽培を行い、さらに茶葉やユズ製品の加工まで手がけている。中でも、紅茶は国内の国産紅茶コンテストで入賞するなど専門家からの評価も高い逸品。
対馬の新しい産業を作るために始めた、茶とゆずの生産
島の9割近くを山林が占める対馬に新しい産業を作ろうと祖父がしいたけ栽培をしていた圃場を開墾し、父が2002年にユズの植栽を、2007年に茶樹の植栽をしたことでこの農園がスタート。現在は、農園の二代目となる大石裕二郎さんがここを継ぐために農園で奮闘しています。実は裕二郎さん、対馬に来る前は静岡で働いていました。彼はなぜ対馬で働くことを決意したのでしょうか。「静岡で出会った地元に恩返しをしたいと活動する若い人たちに感化されたのがきっかけです。そのころすでに父がお茶とユズの農家していたので恩返しの気持ちもあって対馬に戻りました」。現在こちらの農園では、対馬紅茶を主力商品に、柚子胡椒をはじめとしたユズの加工商品を販売。商品は対馬空港や観光情報館の「特産品の間」でも購入できます。
つしま大石農園
古くは修験道の神山として信仰を集めていた御岳(みたけ)の麓にあった先代から続く圃場に、茶畑を開墾。島の問題となっているイノシシやシカの獣害が比較的少ない茶とユズを育て、対馬の新たな産業を生みたいと考えている。
- 住所 上県町佐護東里1384
- 電話 0920-84-5176
- URL https://oishifarm.com/
親子で切り盛りしているこちらの酒造だが、酒造りの主導権は息子の真太郎さんが持っている。父の浩一郎さん曰く、「私なんかより息子の方が今の時代にあった酒を上手に作りますよ」とのこと。切磋琢磨する親子の関係も良い酒造りの条件なのかもしれない。
焼酎伝来の島・対馬に残る唯一の酒造
「自然が育んだ美味しい水があるからこそ、離島である対馬で日本酒作りが続けられています」と話すのは対馬唯一の酒造「河内酒造」の代表・伊藤浩一郎さん。この酒造の代表的な銘柄「白嶽(しらたけ)」は、甘口で飲み飽きない味は昔から島民に愛され、そのほとんどは島内で消費されています。また、麦焼酎8に対して米焼酎2をブレンドした珍しい麦米焼酎「対馬やまねこ」は、クセのないあっさりした味わいが特徴でこちらも島民に愛される商品の一つ。そんな島の人なら知らない人はいない酒造で活躍するのが息子の真太郎さん。酒造りを洗米から見直し、製造方法を改めたことが功を奏し、「白嶽大吟醸」が全国新酒鑑評会で金賞受賞しました。そんな息子の活躍に浩一郎さんも嬉しそうです。
河内酒造
1919年の創業以来、対馬で唯一の造り酒屋として島民に愛される酒造。山地が多く米作りが難しい対馬で酒造りが続けられたのは、九州の北方に位置する故の寒冷な気候と、美味しい水が豊富にあったことが要因なのだとか。
- 住所 美津島町鷄知甲490-1
- 電話 0920-54-2010
- URL https://www.kawachi-shop.jp/